今回は「正体」染井為人著
映像化もされていたようですね。
内容はミステリー。その中でも 「逃亡もの」 とでもいうのでしょうか。
なかなか本格的に読ませるタイプのミステリーだと思いました。
謎解きではありません。
というか、なぜ彼は逃げ続けるのか。事件の真相はいかに?
という意味では謎解きといえるのかもしれませんが、
いわゆる密室もののように なぜどんなしかけで人を殺したのか!
というものではありません。
読んでいる最中 その人物の人となりや人生に、没入していくような…。
私の好きなタイプのミステリーであります。
それでは あらすじを。
一家殺人犯で死刑宣告を受けた青年の逃亡劇
ある時は日雇いの労働現場で、ある時はフリーライターの仕事場で。
ある時は冬のスキー場のバイト先で…。
顔を変え、素性を隠し身元保障のいらない仕事を転々としながら隠れるように逃亡を続ける。
そして身元がバレそうになると忽然と姿を消す。
人との関わりを極力少なくし、目立たないようにふるまうが、その逃亡先で出会った人々の彼への印象は真面目で優しい青年。時に人を助けることもある。
一体彼は何者なのか。
その青年は居場所を転々とするうちに、認知症の老人が暮らすグループホームへと辿り着く。そこには彼が起こした一家殺人事件の唯一の生き残りである若年性アルツハイマーの女性がいた。
青年が彼女に近づく。彼の目的は?
最後。なぜ、彼はあのような結末を迎えざるをえなかったのか。
泣けます。
ところどころご都合主義なところはあるものの面白いです。
ネタばれになってしまいますが「冤罪」について考えさせられてしまいます。
それでも 最後関係者が彼のために集まったところ、そして最後のシーン。
なかなか感動的でした。