本のみの虫!

読書の記録やおすすめの本などについてつづっていきます。

「自分とかないから」しんめいP著

小説を読むことが多いのですが、今回は珍しく東洋哲学なる本を読みました。

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哲学ってなんだか難しそうですよね。答えの出ない難問を考え続けてるようなイメージ。全く私には知識がありません。まして東洋哲学。

何それ?ってレベルです。

正直、西洋哲学に比べて辛気臭いイメージ。

老子とか荘子とか、気難しそうな顔したおじいちゃんが説教しているような…読む気しない。

 

でも、この「自分とか、ないから」は、哲学の本にしては珍しく人目を引く明るい黄色の表紙。そして変なタイトル。思わず手にとってました。

思う壺ってやつです。

 

著者は東大出、一流企業に就職したエリートです。でも、彼はすぐに辞めてしまいます。自分が仕事ができないことに気づいてしまった。おまけに離婚。家族まで失い引き篭もります。

そこで出会ったのが東洋哲学だった。

 

この本、とても真面目に東洋哲学を扱っています。しんめいPなどおかしな著者名だったり、柔らかそうな本の雰囲気だったりしますが。

文章もやわやわです。ページ開いて思うのは哲学の本なのに文字少なっ!

だからこそ読む気になりました。

東洋哲学なんて触れたこともない私でも聞いたことのある「空」「タオ」「禅」など解説しています。お馴染みの「仏陀」「老子」「空海」などなども登場します。

抽象的で解釈の難しいことをとても分かりやすく説明してくれています。

それでもやっぱり難しい部分は理解しにくい。全体的におおよその解釈はできる感じでしょうか。多分私の場合、理解できた部分はほんの上澄み部分のみ。それでも結構満足感。

本当に難しい部分は著者自身が正直に分からないと言ってます。だから、あぁ、理解できなくて当然なんだ、分からなくても、少しでも何か感じ取れるところがあれば良いのだなと感じさせてくれます。

登場する人物たち、仏陀だの老子だの空海だの、名前だけだととっつきにくい人ばかりですが、とっても親しみやすく書いてくれているので興味がもてます。

 

自分探しをしても分からないよ、そもそも自分なんてフィクションで何もないのだから。空っぽなのだから。それどころか世の中全ての人、物もフィクションであり空っぽであり、そして繋がっており…

難しいけど、なんか楽になる感じは分かりました。

自分のことなんて、多分自分あまり分かってない。他人の思うイメージ、どう見られているかに囚われて、それに合わせて演じている部分だってある。正直になってみな、あなたらしく!なんて言われても、私らしいってどんな感じなのか分からない。

周りでなくあなたはどう思うの?なんて問い詰められても、いや、正直どうでもいいよなーなんて思うことも、それで結局この熱き人はどんな回答求めていてどう答えたら満足するんだ?なんて考えることもある。

私って思った以上に自分がないのかもしれない。なんて情けない。

でも、そもそもあなたは空っぽ、何にもない、そしてそれで良い。流れていく水のように身を任せていれば良い。さすれば無我の境地に辿り着く?

なんて楽。

東洋哲学ってとても人に優しい哲学なのかもしれない。

多分著者の言いたいことほとんど理解してないかもしれないし、違った、都合の良い解釈しすぎかもしれないけれど、なんだか楽になった。

 

噛み砕いて噛み砕いて噛み砕いて、離乳食のようになった東洋哲学。超初心者でも楽しめます。面白いですし、読みやすいです。

おすすめです。